ユノ様の備忘録。

ユノ様の日々を記す。

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【想い出の日記】フィギュア神起 番外編「黄金を抱いて跳べ」前半【不定期更新/笑】

<旧ブログの記事を今年版に改定致しました。当時、「黄金を抱いて跳べ」にどハマりした記録として残しておきたい個人的日記なのでご興味ない方はスルーお願い致します。フィギュア神起は後半登場致します(笑)。 >

 【2012年4月】

今回、「TONE」京セララストに行こう!!と背中を押された理由のもう一つに、シム氏出演映画となる「黄金を抱いて翔べ」を読了後より、その設定地を巡りたい…という想いがありまして、それがはからずも大阪界隈…ということで、前夜、祭り打ち上げでしたたか飲み過ぎて朦朧とした状態ながら(遠い目)、一路、その地へ、シムさん溺愛友の会でいらっしゃるAさんと向かいました。

宝塚ファンという過去から、新大阪は数え切れぬ程、降り立ちながら、福知山線で直行してしまうか、阪急梅田から宝塚へ向かう…というパターンだったので、新大阪界隈には殆どうといくせに、またしても安定の「何とかなるさ」行き当たりばったり学習の甲斐全くない女(笑)。

おっと、先に進む前に、「まっさらな気持ちで映画に臨みたい」「余計なインプットをして先入観を持ちたくない」「興味ねえですよ(爆)」な皆様は、これより先、お進みになるのはお控え下さい。
ななめ読みをなさっても、知らずのうちに某さんのように目に入っていたという事例もございますので(笑)要注意。

*****
散歩に向かう前に、簡単に「黄金~」の数行でわかるご紹介を。

高村薫氏デビュー作「黄金を抱いて翔べ」、1月7日にすでにクランクインしており、3月上旬のクランクアップ、2012年6月の完成、2012年11月の公開。
高村氏が、デビュー作にして、日本推理サスペンス大賞を受賞した本作は、過激派や犯罪者相手の調達屋をしてきた幸田が、大学時代からの友人・北川に、銀行本店の地下に眠る15億円相当の金塊強奪計画を持ち掛けられ、銀行システムエンジニアの野田、自称工学部留学生で国家スパイの裏の顔を持つモモ、北川の弟・春樹、元エレベーター技師の爺ちゃんと共に犯罪に臨むというストーリー。
監督は井筒和幸監督がメガホンを取り、主役の幸田を妻夫木聡、北川を浅野忠信、野田を桐谷健太、モモをチャンミン、春樹を溝端淳平、爺ちゃんを西田敏行が演じる。

高村先生と監督、出演者たち。
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本日4/27、解禁となった特報つべより
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うぉおおおおおおおおおおお!!!!! みなぎるぜええええええ!!!(爆)

新大阪駅のコインロッカーに荷物を預け、まずは最初に幸田とモモのゆかりの街「吹田」へとJRで向かいました。吹田というと万博のイメージで、新大阪から30分ほど?と思っていたら、なんと2駅目で、あっさり下車。この日は初夏の日差しで、少し歩くと汗ばむ陽気でございました。

吹田に降り立ち、商店街表記のある方の改札を出る。←「確かモモがバイトをしていた豆腐屋は旭通商店街ってとこにあるはず」といううろ覚えより(笑)
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「ああここに、幸田とモモが…」「あああああ」としばし感慨に耽り、写真を撮るAさんとわたくし。いや、想像上の人物だから(爆)。しかも感動しながら写真を撮る二人を横目に見ながら通り過ぎる歩行者の皆さん。きっと鉄子歴女と勘違いなさったことでしょう。
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歩道橋よりアサヒビールを望む。

「六畳間のベランダ付きの窓から見ると、JR線路北側が緩やかな傾斜の上り坂になっているのがよく分かった。坂道に沿って、細かい空家や倉庫や町工場と空き地がちらばり麓にはアサヒビールの工場群とJRの吹田操車場が広がっている。茫々として色のない空があり、モルタルやトタン屋根の連なりに外環状と線路の地響きが重なり、その上にホップの異様な臭気が漂う、≪終末≫の町だ。(文庫 P.48)」

アサヒビールよっ!! あそこに幸田さんと春樹が…」「このバスでモモは淀屋橋へ…」。だから想像上の(以下略)(爆)
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歩道橋より降り、「商店街」アーケードを「歩いて行けば、豆腐屋あるんじゃね?」と歩きだす。
豆腐屋とは、モモが五年来アルバイトをしていた「丸吹」のモデルとなる店で、今回の映画でもその店で撮影設定が行われたが、ツイなどの情報で見物客が殺到し、やむなく撮影中止となり、都内豆腐店で撮影が行われたとのこと。アイゴッ!!

本当にのどかな商店街で、フラリとモモが表れそうな風情。そんなことがあったら死ぬ。←ないから(爆)
かなり歩いて、「もっと行ったとこかなあ?」という頃に、そのツイなどで見たような光景が出現。
あった!!

店番するオサーンがいらして、不審な動きを察知したのか、ジーッとこちらを見ているような気がして(笑)、ビビる大木となったために、道路隔てた電柱の陰より激写。いや、その方がもっと不審(爆)。
でも、わたくしにはグンゼ白Tに長いゴムエプロンにゴム長で豆腐をすくうシムさんが見える(錯覚)。
「ああ、ロケに自分の店に来るのなら、豆腐屋になりたかった」「でも水冷たいし、たった数時間しかいないよ?」「やっぱりやめた」(爆)
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また、この近辺のパチンコ屋さんにも出入りしていたモモ。「モモはパチンコが好きで、宵の一、二時間は、駅前の三軒のパチンコ屋のどれかに必ずいた。」ということで、パチンコ屋を通り過ぎる際、生温かい目で通り過ぎる。ただの変質者(笑)。

幸田とモモの住んでいた街にいる…数日前、まさかここに自分が来るなんて想いも寄らぬ…人生ってとテンション高く、これから行く場所への確認をするため(なにしろ何も調べていない(笑))、いったん休憩。商店街の奥にあるカフェというより喫茶店的趣の店。

次は、金塊強奪の舞台となる中之島淀屋橋へと向かう段取りを調べるはずが、昨日の京セララストの感想に始まり、2009年ドームからその日に至るまでの足跡をたどり、「よくぞこの日を迎えた」と涙ぐむ会話に突入してしまう二人(爆)。

既に時計は12時を回り(大汗)、物語の重要な場所である教会のモデルとなったカトリック吹田教会は今回は断念←場所未調査のため(爆)(ロケでは東京の教会にて撮影という情報もあり。)
だが、映画公開後、必ずここに来る気がする…との怖い確信を残し、吹田駅を出発する。

新大阪に戻り、今度は地下鉄御堂筋線で4つ目の淀屋橋へ。それにしても、関西の地下鉄って高いんですね。一駅200円て! 韓国安イジュセヨ←意味不明(笑)

淀屋橋から大阪市役所、日本銀行を望む。多分(笑)。あそこに橋本さんがいるのね(違)。
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川べりはプロムナードになっていて(「みおつくし」プロムナード)ちょうどランチタイムでわらわらと休憩に出てきて自然の中で憩うリーマンたちの多いこと。その群れを横目に、にやつきながら「ここをモモが…」と道行くAさんとわたくし。怖い(笑)。
確か、この街灯と川べりに佇むシムさん画像に見覚えあり…とらしき場所をパチリ。帰宅後、その画像と照らし合わせると、なんとなーくそんな雰囲気。土地勘あるジモティの方なら、シムさん背後に写り込むビルがどこか瞬時に判断つくのでは。でも、この近辺にいらしたのねぇ…数か月前に(爆)。
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次に、左側に土佐堀川を目にし、中之島遊歩道を行く。ここは、モモのお兄さんが浮いていた川でもあり(怖)、少し行くと「いいか。俺は警察の目を外にそらせたいんだ。確かに、付近一体の電気を止める必要なんかない。大事なのは、どっかのアホウ共が中之島を狙ったように見せかけることだ。ちょうど、朝日新聞の本社も近いことだしな。どう思う、モモさん? (文庫P.114)」「幸田らは、中之島三丁目に入ると田蓑橋筋までの百五十メートルをゆっくりと進む。右手に朝日新聞本社、住友ビル、三井銀行関西電力本社。(P.125)」の付近に。

左が朝日、右が関電。関電前は厳重な警備で、またもや写真を撮ろうとすると不審に見られ、かなり離れた場所よりその目を盗みパチリ。なんでそこまでして。ヲタクってキモイ(爆)。
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そして錦橋、三井住友銀行を望む。三井住友は原作では「住田銀行」で、ついつい「住田銀行はどこだ」と探しそうになる(笑)。

「早朝、幸田が車を運転して、何度も阪神高速環状線に乗って、土佐堀の本店の真横を走りながら、 北川がカメラを構えた成果が、その二十枚の写真だった。
地上のどこからも、建物をこんなに間近 に見ることはできないのに、高速の上からは、建物の五階以上が手にとるように丸見えだった。 (P.111)」
「幸田は大抵、歩行者専用の錦橋の下段の縁に座っていた。そしてジイちゃんは、土佐堀通りの清掃日には、いつもその錦橋のたもとから始めるのだった。ジイちゃんは、幸田の方は一度も見たことはなく、幸田も声をかけたことはなかった。(P.122)」

錦橋上のベンチに作業服姿のナムジャを遠目で確認し、「ああ、ジイちゃん…」と一人心で盛り上がり、ここを何度も下見に来たのねと胸熱に。が、しつこいですが、想像上の(強制終了)(爆)。
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何か立ち去り難いものの、この時点で1時半で、次に原作ではなく、モモがお兄さんと密会した場所という設定でロケが行われたという西梅田地下に行ってみるも、あまりにアバウトすぎて断念(涙)。また、幸田とモモが寝泊まりした公園設定?でロケがあった難波の広場もタイムアウトで断念。

この撮影時は2月のマイナスの頃に、夏の設定ということで、シム氏は半袖で臨んだとのこと。そしてちょうどツアーもたけなわの頃で、いやあ、映画を観ながら、よくぞ両立したとさらに感動することでしょう。

「混乱するからシムさんには映画舞台挨拶は出て欲しくないね。」「きっとオクで入場チケット高値になって、客席ビギ婆だらけで迷惑かけるよ。」「わたしたちはヒッソリ見るんだろうね。」「回数券あれば通い倒す。」「DVDもちろん購入。」「何とか少しでも早く見ることができないか。」「楽しみすぎて禿げ上がる。」の会話を残し、大阪を後にいたしました。

今回は突如決行の東方散歩のため、調査不足甚だしいけれど、「TONE」ツアーの夢の時間から現実にすぐに戻り難いがために巡った「黄金を抱いて翔べ」の設定地散歩。
駆け足ながら、実際の空間と空気を肌で感じ、いっそう原作の世界が身近になり、また待ち遠しくなった次第です。
次の東方散歩候補地は…あそこだ(爆)。雄三オッパには負けなくてよ!!(鼻息)

<特別付録 腐った目線でななめ読み それは高村先生からお叱りが?ミヤネ♪ な幸田とモモ目線から読む「黄金」。これであなたも「黄金」が観たくなる!!(爆)>

高村先生フリークによれば、この「黄金を~」は「第三回日本推理サスペンス大賞を受賞後の雑誌掲載版、単行本版、文庫版」の三通りあるそうで、雑誌掲載版と文庫版ではかなり中身が変わっております。
ゆえに、当初よりも、幸田とモモの関係が明確になるように筆が加えられております。カムサハムニダ(土下座)(爆)。
わたくしは映画決定後に読んだため、すでに配役された方で読み進めてしまったため違和感がさほどないのですが、原作ファンの方にはいろいろあるようで。これは原作ものには付き物でございますね。
なので、幸田役の妻夫木氏、そしてモモ役のチャーたんがあんなことやこんなこと、「今日からモモ子だ」……。うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!
想像するだけで、想像するだけでええええええええええええええええ!!!!!(爆)
そして、きっと、多分、必ず、優秀な中国もしくは韓国カシオペア嬢の手により、幸田をユン木さんに替えた設定画像が出てくることに100万モモ!!(爆)
楽しみすぎて、年貢を稼ぐ原動力になるというものです(嗚咽)。

それでは、幸田とモモの愛の劇場、抜粋からどうぞ。

* 五月の初め頃、退屈しのぎに監視を始めてしばらく後、向こうも幸田の視線に気付いたようだった。会社の帰りに吹田駅の北口で出会ったとき、先に近付いてきたのはモモの方だった。モモは、どこかで会ったとか何とかそのような言い訳をし、幸田は自分もそう思ってたところだと答えて、最初の接触が成立した。[P.49]

* モモは自分を≪宗隆生≫と名乗り、大阪工大の研究室にいると言った。東京江東区生まれの韓国人で、大阪には五年前に来たという。それにしても、質素なセーターとジーパンに、流行遅れのショルダーバッグをひっかけた恰好は、貧相で弱々しく、何が悲しくてこんなに冴えねえのかという感じだった。[P.50]

* 笑うと、二十代の半ばと思われる年齢があらわになり、歳相応の青臭さも感じるのだが、それ以上に、奇妙な初々しさが目を引いた。いい歳をした一人前の男に、何の初々しさか。改めて考えると、下らないと思うが、モモを見るたびに、ちょっと胸を打たれるものがあった。冬眠から覚めたクマじゃあるまいし、何がそんなに嬉しいのか。それほど、晴れやかに楽しげに笑う。[P.52]

* モモの笑顔は、自分の足の裏に貼りついた魚の目になり、いつの間にか、切り離せない生活の一部になっているのを感じた。もっとも、その魚の目は日増しに固くなってはいたが、まだほとんど痛みもなかった。時々何かの拍子に、ハッとする程度だった。まだそれほど鋭くない、うずくような熱を持っていただけだ。[P.54]

* 「幸田さん。あんたには、すまないことをした……。俺は、誰かに知ってもらいたかったんだ。兄を殺したことを、誰かに知らせたかったんだ。教会に行って告白したかったが、それも出来なかったから、誰かを探してた……。あんたは、黙って聞いてくれた。ピストルも見せたのに、あんたは何も言わなかった。おかげで、俺は随分気が楽になった。代わりに、あんたが苦しむことになったが……」
「俺はあんたのキリスト代わりか。……言っておくが、俺は、国島を殺したかったから、殺したんだ。自分のために殺したんだ」
…中略…
…幸田さん。北川さんから聞いた。あんたが聖書を持っているって。あんたのことは、ほとんど何も知らない。でも、いつか、あんたとは神の話をしたいと思う。あんたとは、心の話をしたいと思う……。[P.166]

* 「なあ、幸田……。お前の正直な気持ちはどうだ? モモを売るか?」
「売る?」
…中略…
「いやだ」
幸田は首を横に振り、北川の自分に向かってくる目を仰ぎ、頭を垂れた。
「モモを売るのはいやだ」[P.202]

* 教えられた通りの二〇三号室のドアを、いつも通りの方法で三回ノックし、二秒おいて二回ノックしたら、すぐにドアは内側から開いた。若い女の顔が覗いた。
思わず、「すみません」と頭を下げたが、二度目にその顔を見ながら、待てよと思った。
ツルンとした色白の顔に、すっきりとした切れ長の目が二つ。長いサラリとした髪を肩に垂らして、唇がほのかに赤いモモだった。これで、タートルネックのセーターが赤やピンクだったら泡を噴くところだったが、黒もなかなか艶めかしかった。とにかく笑った。久しぶりに、腹が痛くなるほど笑った。モモは、悲しげな目で笑みを浮かべていた。何も言わず、ただ、「今日から、モモ子だ」と言っただけだった。[P.232]

* 「モモ。外へ出よう!」
 幸田は、引きずるようにモモを外へ連れ出した。淡いピンクのダウンパーカーを着て、髪をきれいにとかしたモモだった。吹田駅前へ出、南口の飲み屋で、熱燗を二合ずつ空けた。今夜から、夜は自分のアパートへ来たらいいと言うと、モモは「ありがたいな……」と小さな声で笑った。[P.244]

* 「ジイちゃん、一つだけ言っておく。とにかく、あんたが俺たちを裏切った事実は動かない。モモに何かあったら、あんたには責任を取ってもらう。最後まで、この俺が見てるからな。忘れるな……」[P.269]

* 「幸田さん、あそこへ行ってみようか……」
 モモは、フェンスの向こうの尖塔を指した。幸田は首を横に振った。あそこは遠い。絶対的に遠い。過去でも現在でもない。彼岸のように遠い、という気がした。
「……いつか行こう」
モモは静かに、だが、しっかりとささやいた。「いつか、行こう……」[P.271]

* モモは最近、すっかり≪モモ子≫が板についてきた。ちょっとした京美人だ。以前のようによく笑い、笑うと一層きれいに見える。[P.281]

* 十二月十一日。夜。幸田とモモは、久々に浮浪者をやった。午後八時過ぎ、昭和町のアパートを別々に出発し、吹田駅前からバスで江坂へ出、そこから地下鉄を乗り継いで九条へ出た。モモは先に淀屋橋で降りていた。荷物は、二重にした紙袋一つ。千代崎まで歩き(以下略)[P.289]

* 「俺のアパートに来いよ」と幸田は言った。モモは、軽くうなずいた。[P.291]

* 「それでいいんだな……?」
「ああ。……モモに何かあったら、事が済んだ後で、ジイちゃんには首を括ってもらう。モモに何かあったら、絶対に許さない。俺も生きていけない。
モモとはもう特別の仲だ。それは北川も分かっている。[P.292]

* 「幸田さん、動けるか?」
 モモに抱き起された。少し変な抱き方だった。モモは左腕を使わないで、右腕だけで幸田の背を抱き、小脇を抱えようとした。モモの歯が軽く鳴った。「俺も寒いんだ」とモモはつぶやいた。「あんたと同じところをやられたよ」[P.296]

* モモは最前列のベンチに腰を下ろした。幸田も隣りに座った。「やっと来たな」とモモは微笑んだ。≪ほんとうに、やっと来た……≫と幸田も思った。[P.298]

* 左腕の中に、モモの垂れた頭があった。瞬間的に、いつもの肉体と違うのを感じた。膝の上の手が冷たかった。垂れた頭に触れたが、動かなかった。モモは目を開いていた。口紅を落とした唇が、白っぽい色に変わっていた。(中略)幸田は、モモの両手を組み合わせようとしたが、すでに硬直していた。まぶたも、閉じてやることは出来なかった。[P.299]

* それにしてもまさか、お前があんなに盲目になるとは思わなかった。こいつは全くの誤算だ。モモに惚れたというのも意外だったが、一緒に撃たれることはねえだろう?十年付き合っても、最後の最後で分からなくなってしまうのが幸田だ。全く、なんてことだ。[P.303]

* 「(前略)俺も去年、祐一にうつされて、お多福やったんだ」
「インポの北川浩二なんか、この世の終わりだな」
「お前なんか、お多福、百っぺんぐらいやったんだろうな」
「ああ。そうかも知れない」
「なあ、幸田。お前、いつからモモと出来てたんだ」
「最近」
「俺はなあ、人間嫌いのお前は一生、人とどうこうすることなんかないんだろうと思ってた。人間って変わっていくんだな……」[P.336]

*(前略)自分はチョ・リョファンの母親の遠縁にあたるのだと言い、≪リョファン≫は国の言葉でクリスチャンの意味だ、などと話した。
 だが、名前などただの偶然に過ぎなかった。幸田が知っているのは、≪リョファン≫という男ではなかった。[P.350]

* 野田の歌はもう聞こえなかったが、草や線路やその他もろもろの音は鳴りやまず、それらの音が一つになって、さらにうねり逆巻いていた。どこかへ運ばれていく。新しい土地が待っている、と幸田は思った。
そうだ、モモさん。俺はあんたと、神の国の話がしたいと思う。あんたとは、心の話がしたいと思う……。[P.351]

文庫のP.336の「なあ、幸田。お前、いつからモモと出来てたんだ」「最近」の部分は、1994年版にはなかった箇所みたいで。「お前からは、遂に女の話は一度も聞かなかった。野田が、お前はモモ子に気があるんじゃあねえか、って言ってたぞ」とほのめかす程度から、「出来ていた」「最近」とその関係を認めてしまっている加筆、これ、姉さん、事件ですっ!!←「hotel」の高島弟か←例え古すぎるよ(爆)
てか、抜粋だけ読むと、何これ、もう幸田とモモの愛の物語じゃねえの?ってことになりますが、や、金塊強奪計画ストーリーですから(爆)。

そして「モモ子」設定。これ、映画でどうなるのか、カットなんかしやがったらわたくしが襲撃だっ!てな勢いですが(笑)、これがあってからの、ビバルイシム氏の色っぽさや妖艶さ…なんじゃねえか?と。頼む、推察あたってくれ!!(懇願)

 <唐突に完>(爆)

 *****

 【2012年9月】

いよいよ公開まで40日を切った「黄金を抱いて翔べ」。
試写会参加の方やマスコミ関係者から、ちらちらと評判が漏れ伝わってきておりますね。ひぃぃぃぃぃ!!

今の心境は、配役決定、そして原作読了…と大切に妄想のモモさんを育てて参りましたが、その概要があかされてしまうのかと思うと、いやまだベールを脱がないで妄想し続けたい気持ちと、一刻も早く、モモさんに触れたい…という気持ちのせめぎ合いと申しましょうか。や、複雑な婆心ですね。ほろろん。

その妄想モモさんを育むために、4月には原作の街、吹田、中之島淀屋橋近辺を巡り、さらに物語がわたくしの中に大きく息づいたんですが、その際、一度ロケをしかけたけれど、見学人殺到でやむなく中止…となったお豆腐屋さんを目にしたんですが、その後、都内の豆腐屋さんで再度撮り直しをしたとのことで、そちらの情景がわたくしの中では「黄金」のモモの豆腐屋さんということで鮮明に上書きされました。

そのお豆腐屋さんに東方ファンの方が訪れ、ツイやブログで訪問記をあげているのを拝読すると、モモシムさんが存在するためにはここの豆腐屋さんが必要で、あのロケが中止になったのはなるべくしてなったこと…なんて勝手な解釈を成り立たせてしまうような、女将さんやお店のご様子で。

こりゃ一度ご挨拶せねばなるまい…。← いえ、誰も頼んでいません(爆) と、ご訪問のタイミングをうかがっておりましたら、なんと、友Kさんが既にご訪問なさったとのことで、「もう一度行きたいので、ご一緒にいかがですか?」とお誘いくださったため、「行く行く行く行く」とヘドバン状態でお返事差し上げ、前回「黄金散歩」をご一緒したAさんを加えて、三人で行って参りました。

渋谷から約13分。東急大井町線尾山台」下車。
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私鉄沿線のあたたかい街並みで、昔ながらの書店や喫茶店洋品店などにチェーン店のご飯屋さんなどが混在する「ハッピーロード尾山台」商店街を環八通りに向かってぶらぶら行くと、中ほどに、そのお豆腐屋さんがありました。ツタの絡まる建物が歴史を物語るように、この地で78年続いたという「星とうふ店」さんです。
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近づくとおわかりになるかと思いますが、お店を訪れた、シムさんファンの方々が置いていったという黄金フライヤーから、「TONE」画像、「SMT」画像、エイネうちわ、等々 たくさんのシムさんが貼られておりました。
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「昨日も青森や仙台からファンの方が来てくれたのよ。」と、毎日のように行脚するファンにお疲れでありましょうに、「いらっしゃい」と優しく、温かく、映画撮影時のエピソードなどを語ってくださった女将さん。
「お写真撮らせて頂き、ブログでご紹介してもいいですか?」「どうぞどうぞ」と心よく(号泣)。
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3月の時点で「あと1ヶ月で店を閉める」というお話だったのが、結局、10月15日がその日になったそうで。
え? その日は、奇しくも「黄金」の都内試写会の日ではありませんか???
ついつい「ああ、もったいないです。もう少し延期されるとか、改装してお続けになれば。」と言うと、「私が店に出て50年、もういいのよ、住むにはいい場所だけど、もういいのよ。」と。
そうですね、ご商売を続けるのは本当に大変なことで、大変失礼いたしました。

「ならば、その最後の年に、一生映像に残るといういい記念になりましたね。数日前も試写会で、井筒監督がモモちゃんの(女将さんはチャーたんを「モモちゃん」とお呼びになる)豆腐シーンの話しかしていませんでしたし(笑)。」「あら、嬉しいわねぇ。本当に? 嬉しいわあ。」

そして、いくつか撮影の時のエピソードも語って下さいました。

「撮影の時、お雛様を出していてね。韓国にはそういうのはありませんと言ってたわね。」

「お豆腐をすくうのが上手にできなくて、いくつもダメにしちゃったんだけど、後でそれはおからにすればいいわと思ったら、ファンの方が「チャンミンの掬った豆腐を下さい」と買って下さったのよ。」

「まったくモモちゃんのことは知らなかったわ。チャンミンていう人とかね。東方神起もね。物静かな子だったわね。」

「そうそう、真冬の寒い時で何度も水に手を入れて赤くなって可哀想だから、お湯をいれましょうかって言ったら、ダメって言われちゃった(笑)。」

「妻夫木さんはかっこよかったわよぉ(笑)」

「モモちゃんは、息子と同じ格好で、ほっかむりをしてTシャツを着て、エプロンして。」

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前述の吹田の豆腐店では見物人が殺到してロケ中止となったんですが、あの場所に比べると住宅街の商店街で、ロケ当日は見物人が殺到することもなく、また休憩は豆腐店の部屋でしたそうなので、そんな時に飾ってあったお雛様の話や、妹の話がでたのかな。
あの寒い時期に真夏設定で、「TONE」ツアーの狭間の過酷な撮影で、顔見知りの仕事場ではなく緊張する映画クルーの中にいて、そんな時、チャンミンを知らないからこその自然な態度の女将さんのほっこりする語りかけが、モモに影響したんじゃないでしょうか。
そう思うと、優しく接して下さった女将さんに感謝の気持ちがこみ上げ、思わず「本当にありがとうございました。握手してください。」と、あんたちょっとな言葉を口走る婆(笑)。いやね、まるで息子がお世話になったような気持ちになっちまったんですよぉぉ(爆)。

と、お話をうかがうばかりで営業妨害甚だしく、目的の「お豆腐」を頂くことにいたしました。
あ。写真撮ってないわ(爆)。
パックに入ったお豆腐と割り箸を出してくださり、「食べてく?」と小さなお醤油と、さらに店前ベンチに敷いてと小さな毛布を一緒に。

「このお醤油はね。やっぱり、モモちゃんファンの人が置いていってくれたのよ。それ使ってるの。」と。
東方婆は気が利きます(笑)。

三人ベンチに並んで頂くお豆腐のおいしいこと。醤油をかけずに一口含むと、手作りの豆の味がふわーっと広がり、私が子供の頃、鍋を持って「豆腐ください」と日曜の朝に買いに行った、あの懐かしい味が思い出されます。道行く人は「え? 今、こうやって豆腐を食べるのが流行なの?」と怪訝な顔で見ていきますが、そうだよ、これがナウなんだぜぇ???(嘘)(爆)

夕方4時からは、お店名物「揚げ出しとうふ」「すぺしゃるおから」「とうふのコロッケ」なども販売されるそうで、それを待ちたかったのですが、2時間もここにいたら営業妨害(遠い目)。

ということで、婆には夕飯の買い物ができて一石二鳥(笑)の「小がんも」「厚揚げ」「油揚げ」を山盛りお買い上げ(それで700円!!!)し、女将さんに「いつまでもお元気で。」とご挨拶し、「黄金」の世界を後にいたしました。

あ。いやいや、これを忘れてはいかんね。
恒例、「フィギュア神起と行く あの街この街 尾山台 星とうふ店の巻」(爆)。

お店のマスコット←そうなのか かえるたんと一緒に。看板息子編。
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ご本人画像前にて。ユノ様が「シャンミーン、ガンバタネェ」と言っております(空耳)。
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さらにドン。まず女将さんにおずおずと「これ、モモちゃんなんですが、お店をお借りして一緒に撮ってもいいですか?」といったいこの婆何を言い出すんだな恐ろしいお願いにも一切動じず、さすがこの地で50年の女将さん、「あら、面白いわねえ。で、これモモちゃん?全然似てない」と。ごもっともです(爆)。
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さらにドン!! 確かに。ユノ様は面影あるが、右のひと、だれええええええ(爆)。
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「これから試写会の映像などが流れると、こちらにたくさんファンが来るかもしれませんね。」とお話しすると、「あら、じゃあ土曜日はたくさん作っておいた方がいいかしら?」
ああ、本当に公開後まで開店していたらと、かえすがえすも勿体ない…。
惜しくもお店を閉じるまで、あと20日…。映画の公開が近づく嬉しさと、こちらが閉じる淋しさが複雑な想いですが、「黄金」ファンの皆様、ひょっこりとモモちゃんがお店の奥から出てきそうな気持ちが味わえるこちらにチラ散歩されてはいかがでしょうか。
(その後、星とうふ店は惜しまれながら、2012年10月13日、歴史に幕を閉じたそうです。)


そして。
お店を後にした一行、ちょうど「catch me」の目隠しユノ様ティーザーが出た直後で「うぉぉぉぉ!明日はムチを持つシムさんだったりっ!」と一挙に思考を切り替え←早すぎる件(笑) 大井町線車中にて、ああでもないこうでもないと萌え話に夢中になっていたら、いつの間にか終点を折り返して、また店のある駅へ向かっているという(爆)。その車中から思わず「見逃さへんで」なワンショット。
「東方エステ」(爆)。「どんなエステなのかしら」「いやあユノ様にマッサージされたら死ぬ」「それはありません」などの会話で、またもや乗り過ごさないことを祈る(爆)。
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おまけ。
帰途前に喉を潤した店にてワンショット。ただフィギュアを立たせただけなのに、「かっこいいわああ」「みなぎるわああ」と。あんたら…(爆)。しかもなぜかシロップの上に立つシムさん。もう、人目が一切気になりません。
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はああああんん、まるで来日したかのようなトキメキぶり(笑)。ステチすぎるっ!!

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あれから4年。今読み返すと、どんだけ「黄金」に嵌っていたのか我ながらキモイですし、冷静になった今、興味ない方には全く何が何やら(笑)。

それにしても、豆腐屋さんにはご縁がありますね。女将さん、お元気でしょうか。

と言いながら、黄金シリーズ、後半へ続く。←まる子か!

(本日も文中、記事等お借りしありがとうございました。)

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